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まだ、わたしが学生だった15年以上前「褥瘡ができるのは介護の恥」と介護や看護のケア不足をさして教わりました。この、介護でかならず関わる褥瘡について、予防方法や褥瘡ができてしまったときの対策など、基本を理解しておけるといいです。

この記事では

  • 褥瘡はどんなものか
  • 褥瘡ができやすい場所
  • 褥瘡の予防方法
  • 褥瘡ができてしまった時の対策

これらを、介護の新人でも理解しやすいよう、わたしの経験を交えてお伝えします。

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基本を知る!なぜ褥瘡はできてしまうの?

褥瘡とは何でしょうか?どんな状態を言うのでしょうか?まずは褥瘡を知りましょう。

原因は?

血液

褥瘡には定義があります。

【褥瘡】体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる

引用:日本皮膚科学会 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン−2

つまり、外からの力によって骨と皮膚の間の組織(筋肉や脂肪)の血流が悪くなり、その状態が長く続くと褥瘡になるということです。寝たきりや座りっぱなしでいる人がお尻や背中に褥瘡ができる理由がこれです。

どんな力が褥瘡になるのか?

褥瘡になる原因には3つの力が関係しています。

圧迫

ベッドに寝ているときや車椅子に座っているとき、お尻や背中など部分的に加わる力のこと。他にも装具やギブスなどをつけていて、一部分だけ強く当たってしまうなどでも褥瘡になる場合がある。

摩擦

ベッドなどに接地している部分と、体がズレたときに生じる力のことです。皮膚の弱い部分や失禁などでふやけている部分に摩擦が生じることで褥瘡の発生や悪化に繋がる場合がある。

ズレ

せん断力ともいい、摩擦によってズレたことによって、体の組織が歪みを生じさせた状態のことです。体の中でズレが生じることで血管が潰されてしまい血流が悪くなる。

進行方法は?

褥瘡は突然できるものではありません。できはじめから悪化するまでにはステージがあります。

ステージ1…発赤(皮膚の損傷なし)

ステージ2…表皮の欠損(皮がむけて浸出液が出る、水疱ができるなど)

ステージ3…皮下脂肪の露出、ポケット化(皮膚が完全にむける、見た目より中に広く穴が開く)

ステージ4…筋肉・骨の露出(脂肪をつきぬけ筋肉や骨に触れることができる)

ステージを知っていると、おむつ交換や入浴介助をしていて、発赤や皮向けを見つけたときなどに褥瘡のなりはじめだと気づけて、早めの対策が打てるようになります。

ココに要注意!褥瘡が出来やすい場所!?

褥瘡が出来やすい場所を「好発部位」といいます。とくに出来やすい場所は、仙骨・腸骨・膝・肘など骨が出っ張っている脂肪の少ない場所です。

褥瘡の好発部位

ベッドや椅子に当たっている部分ばかりでなく、拘縮して強く押し付けられている場所にもできる場合があります。

わたしの見てきた人で、拘縮して手を握りしめている人の手を広げたら親指第一関節の骨が露出していたり、腕が拘縮していることで胸に手首を押し付ける形になっていた人が、手首と胸に褥瘡ができてたことがあります。

圧迫・摩擦・ズレが生じる状況はいろいろあります。全身をチェックするときは、褥瘡の好発部位である骨の出っぱっている部分だけでなく、拘縮しいる手や足にまで目を凝らすことが必要です。

予防方法はいろいろ!いろいろな対策をしよう!

褥瘡はできないことが一番です。そのために何をすべきか?簡単にお伝えします。

体位変換

一般的には、二時間に一回体位変換をします。仰臥位と左右側臥位を順々に行いますが、すでに褥瘡がある場合や傷がある場合、疾病や麻痺の状態によっては、向くことができない方向もあります。何時にどちらを向くか表にすることで迷わないよう体位変換をしましょう。

褥瘡予防の物品

体の圧力を分散する「体圧分散マット」「低反発マット」「エアマット」を使ったり、体位変換や車椅子用クッションにも褥瘡予防を目的とする高価なものがあります。

しかし、そういった専門の道具がなくても、バスタオル・枕・ビーズクッションなどでも代用できます。何を使うかではなく、圧力・摩擦・ズレを減らすことが重要です。

お肌のスキンケア

肌が乾燥していたり尿便や汗などで湿潤していると、皮膚が弱くなってしまいます。そこに圧力や摩擦が加わると、通常の皮膚の状態よりも皮膚へのダメージが大きくなり、褥瘡ができやすくなってしまいます。

普段から乾燥気味の人にはこまめに保湿剤を塗る。汗っかきの人は濡れタオルで吹いて保湿剤をぬり着替えをする。オムツやリハパンで失禁がある人は、定期的に洗浄して清潔にする。ひと手間かけてスキンケアすることで褥瘡の予防になります。

シーツや洋服のシワ・ヨレを無くす

寝ているとき、シーツにしわがあったことで背中にシーツの形の発赤ができた。車椅子に座る人が、背中がまくれ上がっていたことで圧迫が強くなって褥瘡ができた。ズボンを曲がって履かされていたことで血流が悪くなってしまった。

これらは介護現場でわたしが見てきた、実際に褥瘡ができてしまった原因です。小さいことかもしれませんが、それらにちょっと気が付かないだけで褥瘡はできてしまいます。

シーツをしっかり伸ばす、洋服をキレイに着る、ズボンをまっすぐ履くなど、当たり前のことを当たり前に行って褥瘡の予防しましょう。

褥瘡ができてしまった…治すには!?再発防止策は!?

どれだけ褥瘡予防に気をつけていたとしても、何かをきっかけに褥瘡ができてしまうことはあります。もし褥瘡ができてしまったらすばやく見つけて対策を講じます。

褥瘡の処置はいろいろな方法があります。洗浄してガーゼを貼る、オプサイト(透明な防水フィルム)を貼り保護する、軟膏を塗る、手術をするなどいろいろです。

基本的に、医療行為となる処置は介護職が勝手におこなう事はできません。ただし、介護士でも行える医療(補助)行為もあります。

引用:看護師や介護職員の医療(補助)行為について

洗浄・軟膏の塗布・ガーゼの交換など、褥瘡の状態や処置の方法によっては、医師や看護師の指導の元介護職が行うことができます。何をどのようにすればよいか、一人ひとりにあった方法があるため、必ず相談をしてください。

処置以外でも、介護職ができる褥瘡の対策はあります。それは褥瘡の予防とほぼ同じで、しっかりと除圧を行い、清潔を保ち、保湿することが大事です。また、褥瘡ができた部分やその周辺は皮膚が弱くなっている場合があるので、おむつ交換のときや入浴するときには、強く擦ったり引っ張ったりしないよう注意してください。

できない!悪化させない!利用者のために気をつけること!

褥瘡ができてしまう原因はいろいろあります。圧迫・摩擦・ズレを軽減するために、体位変換・物品の適切な仕様・肌の乾燥や清潔のケア・シーツや洋服のシワやヨレをなくす。利用者一人ひとりにあった予防方法を考えて、褥瘡ができないようにすることが介護職には必要なことです。

それでも褥瘡ができてしまった時は早く治すことを考えましょう。新しく入所してきた人が褥瘡があって来る人もいます。治すためには、予防方法と同じように除圧と清潔、適切なケアが必要です。それに加え傷を治す処置も必要となるため、医師や看護師と話し合い一日でもはやく治しましょう

今は安易に「褥瘡は介護の恥」とは言えません。利用者の疾病や栄養状態にも左右されることもあり、どれだけ予防をしても褥瘡ができてしまうことはあります。

しかし、だからこそ予防策をしっかりと立てて、介護現場全体で連携をとってその人の生活を支える必要があります。体位変換の不備や物品の間違えた使用で褥瘡ができてしまう「介護の恥」にならないよう気をつけるポイントを抑えてケアに当たってください。

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