要介護者の入浴、洗髪の介護は重労働なため、ヘルパーを利用している家庭も多いでしょう。しかし、本人が望むように入浴、洗髪できていることは多くなく、どうにかしてあげたいと感じているご家族も多いです。寝たままの要介護者の洗髪は簡単ではありませんが、事前に準備をしたり、注意する点を抑えておくとご家族の方でも安心して行なうことができます。
目次
自宅でシャンプーの介護をするために事前に準備しておくこと
座位が取れる利用者の場合、少しの工夫で洗面所や浴室でシャンプーを行うことが可能ですが、要介護者を寝たままでシャンプーするには、汚れない工夫を行わないと、要介護者に負担がかかります。
またシャンプーの途中で介助を離れると、要介護者へ不安を与えたり、転落事故につながる恐れがあるため危険です。
手の届く範囲に準備が必要な物品は以下のものがあげられます。
・洗髪用パット
・洗面器
・40度前後のお湯
・バスタオル、フェイスタオル
・リンスインシャンプー
・バケツ2つ(洗髪時のお湯用、洗髪後の排水用)
・ビニールシート
・体位安定用のクッション(必要な利用者のみ)
・ドライヤー
・綿球や綿棒(必要な利用者のみ)
物品の準備以外にシャンプーの介護をするにあたって以下のことに注意が必要です。
1.要介護者の体調をチェック
要介護者は身体機能が低下しているため、ただの風邪でも重篤化する恐れがあるのでシャンプーをしても問題がないか体調確認を必ず行いましょう。高齢者は環境変化に対応できないことも多いため、洗髪後は十分にドライヤーを使ってしっかり乾かす必要があります。生乾きは、体調を崩す原因にもなります。
2.十分なスペースと空調を整える
介助スペースが十分ないまま介助を行うと、すき間を作らず、無理やり始めた結果、物を落として壊してしまった、片側しか介助ができず利用者がベッドより落下したなど事故を引き起こす恐れがあります。ベッド上、布団上のどちらであっても両側に十分なスペースを取って安全な介助を心がけましょう。
また居室の空調にも注意が必要です。要介護者が風邪などで体調を崩さないように室内調整を行いましょう。急激な温度変化は風邪で終わらず、重篤な肺炎や脳・心臓疾患を引き起こす恐れがあります。高齢者の疾患で入浴しようと浴室に入って浴室内の温度によって脳梗塞で倒れるケースが報告されています。
適正室温は、冬24~26度、夏22~24度といわれています。あくまで目安のため、温度にこだわらず、要介護者に寒くないかの確認を行いながら適正な室温を保つのがポイントです。
3.ケリーパットや洗髪器を用意する

ベッド上で寝たまま頭が洗える道具としてケリーパッドや洗髪器が販売されています。
ケリーパットは頭を入れて使うものになり、シャンプー後の汚水はそのまま排水パイプを通って準備したバケツへつなぐことができるため、大変便利です。
洗髪機はものによってプラスチック素材のものは、首のあたる部分が固いのが難点です。特に冬場は頭や首のあたる部分が冷たいため、事前に暖めておく工夫が必要になります。
またビニール製で浮輪のように空気を入れて使うタイプのものは、首のあたる部分へ優しく負担が少ないです。しかし長く使用するとへたりや空気が抜けてしまうこともあるため、定期点検や年数によっての買い替えが必要となります。
頭を流す道具として、持ち運び可能な簡易シャワーが市販されています。バケツに入れたお湯を電気ポンプで吸い上げるものや自宅の掃除機を電気ポンプ代わりに使用する洗髪装置があり便利です。洗髪以外でも利用できるため、介護の負担軽減のために用意するのもよいでしょう。
その他、ベッドを濡らさないようにビニールシートやバスタオル、シャンプー後の汚水を入れるバケツ、タオル、ヘアブラシ、リンスインシャンプー、洗面器、ドライヤーと40度ぐらいのお湯を準備します。
専用の道具が用意できない場合
ケリーパッドは福祉用具として販売されており、値段は10,000円台から30,000円以内で販売されています。ゴム製でできており便利ですが、値段が少々高いことと、別の用途での使い道がないことが難点としてあげられます。
ケリーパッドはバスタオルと大きいビニール袋で作ることができます。

【作り方】
1.バスタオルを雑巾をしぼるように巻きます(細長くするのがコツです)
2.巻いたバスタオルを大きなビニールへ入れ、それぞれの両端を輪ゴムで留めます
3.頭に沿って半円を描くように形作ります
4.左右どちらかにシャンプー後の汚水が流れるようにビニール部分をバケツへ受けて完成です
また、ケリーパットがなくても紙オムツと尿取りパットで代用することができます。市販の紙オムツ類は吸水性に優れています。頭を尿取りパットをセットしたテープ止めオムツを包むような形で敷くことで洗髪後の汚水を吸収し、ベッド上を汚すことなく洗髪することができます。使用後はそのままゴミとして捨てられるため、場所も取らず便利です。
簡易シャワーは、ペットボトルのキャップにいくつか穴を開けて作れば問題ありません。その他、マヨネーズやケチャップの容器でも同じようにシャワーとして使えます。洗髪前に5~6本程度お湯を入れて手元に用意すれば、洗髪可能となります。お湯が足りなかったといってその場を離れてしまうと事故につながる恐れがあるので、必ず洗髪前に用意をしておきましょう。
※画像担当者様 手順を分かりやすく図式してください
シャンプーの介護中に気をつけること
入浴時と同様、利用者の体調確認と不快感を与えないためには、要介護者の状態に合わせた対応が求められます。
1.要介護者の首を安定させる

身体状況によって不安定な場合は、首の下に枕やクッションをはさみ、安定を図ります。ベッド上で洗髪が必要な利用者は長い時間起き上がることが困難な人が多いです。
首が不安定では、汚水を溜めるところに頭が落ちてしまう、ケリーパッド内からはみ出してしまう恐れがあります。要介護者が不安定になること以外にもシャンプー後の汚水がこぼれてベッド上を濡らしてしまうことも考えられます。介助中は枕やクッションで固定しつつ、利用者に安心してもらえるよう介助者自身、片方の手で要介護者の首を支えましょう。
2.要介護者の体調に変化はないか気を配る
洗髪することで頭を濡らすため、室温に気をつけないと体調を崩してしまいがちです。要介護者は健常者と比べて身体が弱く、気候によって体調が左右されやすい傾向にあります。そのため、体調変化がないか気をつけて声かけを行います。
風邪の引き始めは症状が分かりにくく、重篤になって始めて気づく場合も少なくありません。洗髪前、洗髪中、洗髪後に体調の変化がないかの確認を行いましょう。
3.耳に水が入らないようにする
耳に水が入ったままになると、中耳炎を引き起こす恐れがあります。通常の入浴時の洗髪と同様に耳に水が入らないように気をつけましょう。
耳に水が入らないように耳栓や綿球を軽く耳の中に入れておくことも有効です。耳の周辺を洗髪する際は軽く耳を抑える、介助者の手で水が入らないように覆ってガードするなどを行うと耳に水が入らないように予防ができます。
4.十分にすすぎ、十分に乾かす
すすぎが不十分でシャンプーが残っていると、かゆみや頭皮炎症の原因になります。簡易シャワーには湯量に限界があるため、濡れタオルでふき取れる分だけふき取ると、お湯が少なくてもきれいに流すことができます。
流し終わったら乾いたタオルで髪に残っている水分をふき取ります。その後、ドライヤーで乾かします。タオルで十分ふき取らないうちにドライヤーで乾かそうと思っても時間がかかるだけで要介護者に負担がかかります。また髪が濡れている時間が長いと、体調不良の原因になります。最後までドライヤーでしっかり乾かしましょう。
【参考】「在宅高齢者のQOL:PGCモラル・フエイススケールを用いた調査から」
小坂 信子 著
「介護保険施設における入浴できない利用者に対する清潔ケアの現状」
斎藤 君枝、青木 萩子、加藤 真由美 著
自宅でも気持ちの良いシャンプーを
要介護者であっても事前の準備ができれば、気持ちよくシャンプーを行うことができます。
安心して受けられる洗髪介護を考えることで介護の専門職ではなく、家族でもシャンプーを行うことができます。また代替品も含めて、物品準備が難しい場合は水の要らないドライシャンプーが販売されています。災害時によく用いられますが、ベッド上で利用することも可能です。
要介護者は、健常者とは異なり、簡単に入浴できない場合が多いため、洗髪を行うだけでもさっぱりして気持ちよく過ごしてもらうことができます。要介護者の体調を配慮しながら、定期的にシャンプーができると、気持ちが明るくなるでしょう。
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