三大介護の一つである入浴介助。介助の有無に限らず、入浴は生活に欠かせないものです。一方、浴室には危険なところがたくさん潜んでおり、注意点を守らないと、病気やケガにつながる恐れがあります。
この記事では、入浴介助の注意点を具体的な場面を想定して説明します。落ち着いて安全な入浴介助を行うために、注意点を把握し、介助に努めましょう。
目次
知っておきたい場面ごとの注意点
具体的に入浴前、入浴中、入浴後の以上3つに分けて、注意点を説明していきます。
1.入浴前の注意点
(1)事前準備
- お湯張り、シャワーチェアなど入浴用具を整えます。
- 脱衣室や浴室は、他の部屋と温度差がないよう25度ぐらいに設定します。温度差で体調不良を引き 起こす場合があるため、注意が必要です。
- タオルや衣類、塗り薬など、事前に準備できるものはすべて用意します。介護者が浴室から離れる と転倒・転落など危険が伴います。
(2)健康状態の確認
- 体調の確認を行います。一般的に顔色の他、体温、血圧、脈拍などが判断基準です。サービスを利 用する場合は必ず体温や血圧は測って異常がないかを調べます。
- 空腹時や食事を食べた直後は避けたほうが良いです。
- 浴室にトイレがあるところばかりではないため、事前にトイレは済ませてもらいましょう。
(3)全身状態の観察
- 入浴前に皮膚の状態や傷がないかを確認します。褥瘡ができる、皮膚が圧迫されて赤くなるなど異 常の早期発見に努めましょう。
2.入浴中の注意点
(1)濡れていると滑りやすく危険です。手すりなどにつかまり、足元に注意してシャワーチェアへ誘 導します。
(2)必ず声かけし、お湯を足元からゆっくり流していきます。介護者は自分の手などでお湯の温度を 確かめてシャワーを使いましょう。
(3)お湯に身体が慣れたところで髪を洗います。耳のまわりなど洗い残しがないように注意しましょ う。続いて、身体を洗います。陰部は、できる人は自分で洗ってもらうように声をかけましょう。
(4)すべて洗い終わった後、お湯につかります。浴槽用手すりなど福祉用具を用意すると安全です。 長時間の入浴は体力を消耗する、のぼせの原因になるため、お湯につかる時間は5分程度が目安で す。浴槽からあがるときは身体も濡れており転倒しやすいため、注意して介助にあたりましょう。
3.入浴後の注意点
(1)乾いたタオルで身体や頭を拭きます。水分が残っていると転倒の原因や風邪などを引く恐れもあ るため、気をつけましょう。
(2)不安定な姿勢は危険なため、イスに座って着替えを行います。
(3)喉の渇きがなくても発汗があるため、入浴後は水分摂取を促しましょう。爪切り、保湿剤など必 要に応じて行います。
(4)入浴前と同様に、健康状態に異常がないか確認しましょう。
入浴介助全体を通じた注意点
手順別の注意点の次は、入浴介助全体の注意点を説明していきます。
1.慌てない、焦らない
介助の基本は落ち着いて介助することです。急いで介助にあたる必要はありません。介護者の焦る気持ちは、口には出さなくても相手に伝わります。焦る気持ちが強いと転倒など事故を引き起こす恐れもあるため、気をつけましょう。
2.残存機能の活用
身体が濡れていたりすると危険なことが多く、できることまで介助してしまう場面がみられます。一方で、自立支援は介護にとって大切なことです。残存機能を把握し、できるところは自分で行ってもらいましょう。
3.環境を整える
安全に入浴できる環境を整えることは大切です。身体機能に合わせてシャワーチェアや手すり、転倒防止マットなどを利用しましょう。
在宅介護の場合、身体状況によって自宅での入浴が困難になる、介護者に負担がかかる場合は、介護保険で入浴を提供するサービスがあります。安全を優先して、身体状況に合わせた入浴方法を選択することが大切です。
安全な入浴介助を行うために
入浴は手順を間違えると大きな事故につながる恐れがあるため、以下の点に注意が必要です。
- 入浴前、入浴中、入浴後の手順を把握
- 落ち着いた気持ちで介助にあたる
- 全身状態の感圧と残存機能の活用
- 環境整備
場面ごとに観察を忘れず、安全な入浴介助を心がけましょう。
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