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介護の現場ではコミュニケーションが大切です。利用者とコミュニケーションを取るには声かけが効果的ですが、具体的にはどのように声かけを行えば良いのでしょうか。基本的にはゆっくりと、分かりやすく、表情豊かに話すと良い印象を与えやすいでしょう。また、ボディランゲージを活用すると具体的なイメージが伝わりやすくなります。どのようなシーンにおいても、利用者を尊重した真摯な姿勢で声かけを行うことが重要です。

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介護で効果的な声かけ事例

安心して介護を受けてもらうためには、相手に安心してもらえる声かけが必要です。声かけはいつも同じとは言えません。介護場面ごとに効果的な声かけがあります。

声かけは単に介護を始めるためのものではなく、介護者と被介護者間の関係を深める、これから受ける介護が何か理解ができるなど、大切な意味があります。介護者自身が、介護場面に応じた声かけの技術や能力をあげることは、安全な介護の提供につながります。

参考「介護老人福祉施設における若手介護職員の認知症高齢者とのコミュニケーションに対する認識」|神部 智司 著

移動介助を行なうときの声かけ

移動の際に気をつけたい声かけは、「介助でどこへ行くのか」「何のために移動しているのか」を伝えることです。突然、「手を引かれてどこかへ連れていかれる」、「車イスを押してどこかに向かっている」では、利用者には不安しか残りません。また「何をするんだ!」「どこへ連れていくんだ!」など混乱する人もいるでしょう。安心して移動介助を受けてもらうためには、「今から食事時間になるため、食堂へ行きましょう」など具体的な説明をして移動介助を行うことが大切です。

食事介助を行なうときの声かけ

食べることを楽しみにしている利用者は多いため、「今日の献立は○○ですよ」「ゆっくり食べてくださいね」など献立を説明しておいしく食べてもらえるような声かけが大切です。食事に集中できず食べ始めない人などに「早く食べて」などの声かけはやめましょう。急がせるような声かけは誤嚥などを引き起こす恐れがあります。食事の時間をゆっくり楽しんでもらえるような声かけを心がけましょう。

入浴介助を行なうときの声かけ

入浴は裸になるため、利用者の自尊心や羞恥心へ配慮しながらの声かけを行いましょう。自分でしっかり洗うことが難しい利用者であってもできる範囲でタオルを渡して自分でやってもらうことは大切です。また普段から入浴を拒否する利用者に対して、直接「入浴」という言葉は効果的ではありません。「少し汗を流していきませんか?」「下着を変えていきませんか?」など優しく声をかけて浴室へ誘導してみましょう。

排泄介助を行なうときの声かけ

排泄介助は特に入浴と同様に、利用者の自尊心や羞恥心へ配慮しながらの声かけを行いましょう。特に排泄の失敗は隠す人が多いです。トイレなどへスムーズに誘導するためには、利用者の身体状況や認知機能を介護者が把握することが大切です。また大きな声で「トイレに行きますよ」と言って介助するものでもありません。介護者は声の大きさや周りの雰囲気を見ながら声かけを行いましょう。

介護現場での声かけのポイント

介護現場での声かけは、日常生活で言葉を交わすときよりも以下の点に注意して行うことが大切です。

介護現場での声かけのポイント

1.ゆっくりと話す

誰が聞いても聞き取りやすいようにゆっくり話をしましょう。病気や加齢によって身体機能や認知機能が低下し、早口で話すと聞き取れない、意味が理解できないことがあります。ゆっくり話すことは基本的なコミュニケーションスキルの1つです。

2.大きな声で話す

高齢になると聴力が低下する人も多いため、大きな声で相手にわかるように声かけを行いましょう。ただし、介護場面によって適切でない場合があるため、注意が必要です。移動や食事などの介助の際は、大きな声で話しても問題ありません。しかし排泄や入浴などの介助の際は、利用者を不快な気分を与える恐れがあります。排泄や入浴などの介助はデリケートな介助であり、自尊心や羞恥心へ配慮が必要なため、利用者のみに聞こえる程度の声かけが求められます。

3.抑揚を意識して話す

相手に必要な介助であることをわかってもらうために声かけのトーンを意識しましょう。語尾を上げると問いかけになる一方で語尾を下げると威圧的に感じる場合があります。介助は人と人との信頼関係で成り立ちます。声のトーンによっては介助者が思っていることと反対の意味にとらえることもあるため、注意しましょう。

4.表情豊かに話す

笑顔はコミュニケーションの基本です。無表情は不機嫌な印象や高圧的な態度にとらえられる恐れがあるため、注意しましょう。

5.挨拶を大切にする

介助の有無に関わらず、挨拶は人と人をつなげる大切なツールです。朝一番に元気よく「おはようございます」と声をかけられて気分の悪い人はいません。その他、「ありがとう」「ごめんなさい」など言葉を交わすことで私たちはつながりを持っています。お互いの信頼関係を保つためにも挨拶は大切にしましょう。

6.短く簡潔な言葉で話す

今からどのような介助が行われるのか手短に声をかけましょう。認知機能の低下などにより複数のことを同時に理解するのが困難な場合があります。わかりやすく伝えることを意識して平易な表現でまとを絞った声かけが効果的です。

7.ボディランゲージを使って話す

言葉だけでなく、身振り手振りを使うと介助によっては効果的です。一方で印象をよくするボディランゲージは使うと効果的ですが、腕を組むなどのボディランゲージは相手を不快にさせるのでしないように気をつけましょう。

8.相手を否定しない

認知症などの影響で「食事を食べた後に食べてない」「自宅に帰る予定だが迎えに来ない」などの訴えに対して、否定するのではなく、受け止めてあげましょう。食事に関していえば「今、作っているので少しお待ちください」や帰宅願望に対しては「事務所に確認してみますね」など否定も肯定もせず、落ち着けるような声かけを心がけましょう。

参考「介護スタッフが認知症高齢者に用いるコミュニケーション技法の特徴とその関連要因」

山田 紀代美  西田 公昭 著

利用者に寄り添った声かけを目指して

声かけの基本は利用者を尊重し、寄り添いあうことです。コミュニケーションによって信頼関係を築いていくことで毎日のケアの質は自然と向上していきます。相手のことを思って声をかけることの大切さを介助者は理解しましょう。

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