今や介護保険はすっかり日本に浸透し、なじみのある言葉になりましたよね。今では有料老人ホームやデイサービスは住んでいる地域にいくつかあるでしょう。
地域の子供たちが慰問に行ったり、高齢者施設の利用者が介護スタッフと一緒に幼稚園に行ったりと、介護保険サービスを利用しながら地域交流をしている風景なんかもよく見ます。
しかし介護サービスの事はわかるのですが、その保険料についてはいまいちわからない事も多いですよね?
介護保険料は40歳から支払う事になるのですが、国保や社保とでは支払い方法は違うのでしょうか?「年齢によって保険料は違うのか」「65歳以上になったら保険料は支払わなくて良いのか」「地域ごとに保険料に違いがあるのだろうか」
こんな風に考えてみると、色々気になりますよね。
今回はそんな介護保険料の仕組みや、保険料を支払う金額についての調整交付金についてお伝えしています。
財源はどのような仕組みなのか?

まずは介護保険の財源はどこから得るのかお伝えしていきます。
介護保険の財源は以下になります。
- 第一号保険料
- 第二号保険料
- 国
- 都道府県
- 市町村
となっていて、保険料から50%・公費から50%と1:1の比率になっています。
その中で支払う割合は以下の通りです。
保険料
- 第一号被保険者(22%)
- 第二号被保険者(28%)
第一号被保険者は年金から、第二号被保険者は国保(国民健康保険)や共済組合から支払われます。国保等の医療保険者が徴収した後、一旦社会保険診療報酬基金に納付され、そこから交付されます。
次に公費ですが、公費は居宅と施設で収入になる割合が少し変わります。
公費
- 国(居宅20% 施設等15%)
- 都道府県(居宅12.5% 施設等17.5%)
- 市町村(12.5%)
保険料・公費を合わせて約10兆円程度が介護保険の財源となっています。そして介護保険サービスを提供した事業所に対して国保連(国民健康保険団体連合会)が、財源から報酬を支払う仕組みとなっています。
国保連は都道府県ごとに設置されていて、市町村より委託を受けて介護報酬の審査や支払いを行っているのです。
国保連の役割は以下の通りです。
- 介護報酬の審査・支払い
- 苦情処理の業務
- 介護予防・日常生活支援総合事業の費用の支払いなど
介護サービスを受けた利用者は苦情・相談は国保連に伝えましょう。
公費の割合がおかしい?

上記で説明したように、国保や年金から支払いを受け、50%は保険料から支払われているのですが、公費の方が計算すると50%にならない事に気づいた人もいるでしょう。
そう、公費を合計しても45%にしかならないのです!
残りの5%はどうなっているのか?
実は残りの5%は国が「調整交付金」として支払いを行っているのです。
調整交付金と言われてもあまりピンとこないですよね?
一体調整交付金とはどういったものなのでしょうか。
高齢者の人数や所得に応じて調整

国保等から支払いを行う第二号被保険者は、費用に変動はありません。
調整交付金に直接関係があるのは、介護保険サービスを利用出来る第一号被保険者となっています。
調整交付金とは、「後期高齢者比率が高い事による給付増」と、「被保険者の所得水準が低い事による収入減」を国が負担する25%の中の5%で財政を調整し、市町村間の財政力の差を解消しています。
例えばA市には所得が高い高齢者が多くいて、B市には所得の低い高齢者が多いとします。
所得に応じて第一号被保険者は保険料を支払う為、A市のような所得が高い高齢者が多い場合はしっかりと保険料を徴収する事が出来ます。
しかしB市のように所得が低い高齢者が多い場合、非課税や生活保護の人が多い為保険料
収入はA市に比べて少なくなってしまうのです。
そうなればB市は保険料収入を何と確保する為、課税者に対して多くの保険料を徴収する事になるでしょう。
そして市町村によって財力格差が生まれてしまうのです。
国はそういった第一号被保険者の支払う金額の高い・低いや、市町村の格差が出ないよう調整交付金を必要な市町村に交付し、保険料負担額が同一になるように調整したり、財源格差が出ないよう調整交付金を利用しているのです。
それでも市町村によってはお得な所もある

もちろん調整交付金で全国の保険料が同じという事はありません。
介護サービスを利用する高齢者の人口が少ない市町村は、総介護サービス費用も少なく済む為保険料も安く済むのです。
もしかしたら歩いてすぐの隣の市が、今住んでいる所の保険料に比べてかなり安い場合もありますので、頭の片隅に入れておけば引っ越しをする時お得な情報となるかもしれませんよ!
まとめ
将来絶対に関わってくる介護保険料をしっかり払う事
今回は介護保険料や調整交付金についてお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか?
自分が支払っている介護保険料の仕組みがなんとなくでも理解して頂けたら幸いです。
介護保険料の流れや調整交付金とは
- 介護保険料の財源は保険料と公費で1:1
- 第一号被保険者は年金から天引き、第二号被保険者は国保等の保険料から徴収
- 国負担は全体の25%で、内5%が調整交付金となっている
- 調整交付金は高齢者の所得や市町村財源格差を調整する事で使用している
上記のような流れとなり、各市町村は収入を得たり、介護報酬を支払ったりしているのです。
今後ますます第一号被保険者は増えていく事が見込まれていて、介護保険はますます必要な保険となるでしょう。
人間は必ず年齢を重ねて高齢者になります。若い世代の人達も他人事だと思わずに、今のうちに知識を身につける事を心がけましょう。